日本気象協会の2026年台風予測では、8月を中心に台風の接近数が平年並みか多くなり、秋は発達した台風の接近にも注意が必要とされています。
(参考:日本気象協会 防災レポート Vol.1)
「我が家はマンションだから台風も安心」
確かにマンションは頑丈な建物です。しかし、本当にそう言い切れるのでしょうか?
現役管理員のりす丸は、マンションならではの台風の被害をこれまでいくつも経験してきました。
今回の記事では、年々激しくなる傾向がある台風に対してマンションで行うべき準備と対策を解説します。
【この記事でわかること】
- マンションで起こりやすい台風被害の特徴
- 台風被害は「風・雨・飛来物」の3つの視点で理解する
- バルコニー・窓ガラス・排水口で必ず行いたい事前準備
- 停電や漏水に備えるポイント
- 現役管理員が実際に行っている台風前の備え
マンションで起こりやすい台風被害|「風・雨・飛来物」を知ろう

マンションで発生する台風被害の多くは、次の3つの要因が重なって発生します。
- 風
- 雨
- 飛来物
この3つを理解すると、台風対策の優先順位が見えてきます。
そしてマンションでは、同じ原因でも共用部と専有部で起きることが違います。
| 原因 | 共用部で起きること | 専有部で起きること |
|---|---|---|
| 風 | 駐輪自転車の転倒/フェンス・掲示物の破損 など | 物干し竿・植木鉢の飛散/網戸の外れ など |
| 雨 | 外廊下・階段の冠水/防水劣化部からの雨漏り など | 排水口の詰まりによるバルコニー冠水/サッシまわりからの浸水 など |
| 飛来物 | 近隣の看板・折れた枝の落下/飛んだゴミが排水口を塞ぐ など | 飛来物によるガラス破損/自宅の物が落下し階下や車両に被害 など |
りす丸風・雨・飛来物の3点は、台風直前ではなくても管理員の巡回では常にチェックをする重要ポイントです。
停電にも要注意|マンション特有のリスクとは
さらに、マンションでは台風の被害が電気設備にまで影響する場合があります。
- 地下電源設備への浸水、配線設備等への冠水
- 飛来物などによる配電設備の損傷
などが原因で、「地域では停電が起こっていないのにマンションだけ停電した」と言うケースも実際に発生しています
停電が引き起こすリスク


マンションの停電が引き起こすリスクは、単に電気が使えなくなるだけではありません。
例えば、
- エレベーターが停止する
- 給水ポンプが止まり水道が使えなくなる(給水方式による)
- オートロック設備へ影響が出る
そしてマンション内の設備が原因の停電は、原則マンション側で修理をしなければなりません。
復旧まで数日かかるようなケースも考えれます。
実例として、2019年の台風19号では、都市部の高層マンションで地下の設備が浸水し、エレベーターや給水が長期間止まる被害が実際に起きました。国交省などが浸水対策のガイドラインを定めたほどの、現実的なリスクです。
参考:国交省・経産省「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン」



りす丸もタワーマンションの管理員の時に、台風による停電を経験しています。復旧には数日かかりました。
この実例は、次回以降の記事で詳しくご紹介します。
台風対策は役割分担が重要|管理員と住民が備えるポイント


被害の3原因(風・雨・飛散物)+停電がマンションの台風発生時のリスクです。
このリスクを最小限に抑えるためには、管理員と住民との連係プレーが欠かせません。
| 守るべき場所 | 主なチェックポイント | |
|---|---|---|
| 管理員 | 共用部 | ・敷地・廊下の飛散物の撤去 ・屋上・外廊下の排水口清掃 ・設備と連絡体制の確認 |
| 住民 | 専有部 | ・バルコニーの整理・清掃 ・排水口の詰まり防止 ・窓の備え |



管理員は専有部の中まで巡回はできません。しかし、気になることがあれば、いつでも相談してください。
管理員が台風前日に確認する共用部のチェックポイント


管理員は台風が近づいてくると、天気予報から目が離せません。
いつ、マンションが台風に巻き込まれるのか、このタイミングがとても重要なのです。
台風接近情報を確認しながら、いつ巡回をすればよいのかを判断しています。
管理員が台風直前の巡回で、特に気をつけているチェックポイントをまとめました。
飛散物を防ぐために管理員が確認するポイント
まず確認するのは、風で飛ばされる可能性があるものです。
例えば、
- ゴミ置き場
- 自転車置き場
- カラーコーン
- 立て看板
- 清掃用具
などです。
そして、りす丸が台風の前に特に注意をするのが、駐輪場以外のスペースに置いてある自転車と出されている粗大ゴミです。
本当は居住者の私物にあたるものなので、管理員は動かしてはいけないけません。しかし台風の前だけは、危険性を考えて風がよけられる場所に動かすこともあります。
排水口・側溝を点検して浸水を防ぐ
雨への備えとして重要なのが排水設備です。
管理員は、
- 外廊下の排水口
- 側溝
- 屋上排水口
- マンホール周辺
などを重点的に確認します。
落ち葉やゴミを取り除き、雨水がスムーズに流れるように準備します。



落ち葉やポリ袋など、小さなものが排水口を詰まらせる原因に…台風直前には敷地内を念入りに清掃します。
工事現場や街路樹など敷地外も確認する
マンション敷地内だけでなく、周辺も確認しています。
例えば、
- 隣接する工事現場
- 足場の状況
- 街路樹の枝折れ
- 近隣マンション
などです。



台風巡回は、できるだけ風や雨がひどくなる直前を狙って実施します。直前が定休日に当たる場合には、休みをずらすこともあります。


住民が台風前に確認したい専有部チェックポイント


住戸内で特に確認していただきたい場所は、次の3か所です。
- バルコニー(ベランダ)
- 窓ガラス
- 排水口
この3つを確認するだけで、多くの台風被害を未然に防ぐことができます。
① バルコニーは飛散防止と避難経路の確保が最優先
台風前に最も確認していただきたい場所がバルコニー(ベランダ)です。
飛散防止
植木鉢や物干し竿、サンダル、ゴミ箱、人工芝などは、強風で飛ばされる可能性があります。
飛散した物は、ご自身の住戸だけでなく、下階や隣接住戸、歩行者や車にも被害を与える恐れがあります。
避難経路
ベランダに置いてある物をまとめる際には、避難ハッチや隔て板をふさがないことも重要です。
これらは火災や災害時の避難経路です。
避難経路をふさいでしまうと、いざという時の2次災害につながる恐れがあります。
\マンションの避難経路に関して詳しく解説しています。ぜひ合わせてお読みください/



飛散防止に、「重しをしたから」、ロープでつないだから、は要注意。
台風の威力は想像以上、できるだけ室内や風が当たらない場所への移動を考えましょう。
②窓ガラスは飛散防止対策が重要
マンションの窓には雨戸がない住戸も多く、窓ガラスが直接風雨にさらされます。
飛来物によってガラスが割れた場合、最も危険なのはガラス片が室内に飛び散ることです。
重要なのは「ガラスを割れなくする」ことよりも、「割れても飛散させない」ことです。
応急策としては、カーテンやレースを閉めて、万一割れたときの室内側への飛散に備えてください。
ただし、養生テープにはガラスが割れにくくなる効果はありません。
おすすめは飛散防止フィルム。ガラス片の飛び散りを抑え、けがのリスクを軽減できます。
また、防犯フィルムとして販売されている製品の中には、飛散防止性能を備えたものもあります。
防犯フィルムなら自治体のスモール補助金対象になります
窓の防犯も気になるなら、厚手の防犯フィルムも選択肢です。
防犯フィルムは窓ガラスを割られて侵入するのを防ぐので、飛散防止の性能も十分に備えています。
そして防犯目的での購入であれば、自治体の補助金の対象になる場合があります。
防犯・防災を兼ねるフィルムは極厚がおすすめ。飛散防止効果No1
飛散防止・災害目的は対象外。対象製品や条件は自治体ごとに異なるため、申請前に必ず要領に確認が必要です。
詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
\マンションで使えるスモール補助金、防犯・防災グッズがお得に購入できます/


③ バルコニー排水口の掃除が浸水・漏水を防ぐ
りすまるが台風前に最も気になるのが、バルコニーの排水口です。
「植木鉢も片付けたし、飛ばされる物もないから安心。」
そう思っていても、排水口が詰まっていては安心できません。
台風では短時間に大量の雨が降ります。
排水口に落ち葉や土、砂、小さなゴミなどが溜まっていると、雨水を十分に排水できなくなります。
すると、バルコニーがプールのような状態になり、水位がどんどん上がってしまいます。
サッシの下端付近まで水位が上がると、室内への浸水や階下住戸への漏水につながる可能性があります。
排水口にネットを被せたままの放置はNG。ネット自体が目詰まりして、水が溢れる原因になります。



排水口をふさぐのは、落ち葉や紙きれなどの小さなゴミの場合が多いです。台風襲来の前にバルコニーの清掃を徹底しましょう。
\初期動作・漏水の原因・保険・責任の所在などマンション漏水対応の全体像はこちら/
窓ガラスが割れたら?管理組合・保険の対象になる場合も
備えていても、台風の被害で窓が割れることはあります。
そのときは、まずは管理員に相談してください。
マンションの窓ガラスやサッシは、多くの場合、専有部ではなく共用部の「専用使用部分」という扱いです。
台風などの災害による破損は、管理組合加入の損害保険の対象になる場合があります。
管理員に相談する際には、
- 発生時間と状況の記録(簡単なメモでOK)
- 破損状況の写真(スマホでOK)
この2点を忘れずに。



自費で直してしまうと、本来受けられるはずの保険や修繕の適用が難しくなることがあります。「まず記録、まず相談」を覚えておいてください。
マンションの台風対策は「在宅避難」が基本
台風は強風雨圏にはいってから数時間で通過していきます。
しかしその影響で、共用部の浸水や停電などが発生した場合には、その後遺症は数日間に及ぶ場合もあります。
マンションでの台風対策の基本は在宅避難です。
停電や浸水が発生しても、マンションであれば建物自体が倒壊する可能性はきわめて引くはず。
飲料水・簡易トイレ・ライト・モバイルバッテリーの備蓄など、在宅避難基本はこちらの記事にまとめています。


まとめ:マンションの台風対策は事前の備えが肝心
マンションは災害に強い住まいですが、「何もしなくても安全」というわけではありません。
台風による被害は、「風」「雨」「飛来物」の3つが重なって発生します。
だからこそ、被害の仕組みを知り、適切な備えをすることが重要です。
- バルコニーの飛散防止
- 窓ガラスの飛散対策
- 排水口の掃除
台風が接近する前に、少しだけ時間を取って確認することで、ご自身の住まいだけでなく、マンション全体の安全につながります。
ぜひ今年の台風シーズンは、少し早めの備えを心掛けてみてください。
次回の記事では、台風直前に住民・管理員が確認すべきチェックリストをご紹介します。








