前回のVol.12では、マンション管理適正化法の「財産の分別管理」について、収納口座・保管口座の基本と、2024年度の過去問を使って学びました。
しかし、過去問を解いていて「イ方式・ロ方式・ハ方式」という3つの方式が出てきて、正直、頭が整理しきれませんでした。
そこで今回は番外編として、この3つの方式と、セットで出てくる「保証契約」を、りす丸なりに整理してみたいと思います。
【この記事でわかること】
- 財産の分別管理「イ・ロ・ハ」3つの方式の違い
- 方式ごとに保証契約が必要かどうかの判断基準
- 実務でよく聞く「回収代行方式」と法定の3方式との関係
- 過去問対策になる「4大ひっかけポイント」
財産の分別管理とは

財産の分別管理とは、マンション管理業者が受託している管理組合の財産(管理費や修繕積立金等)を、自社の固有財産や他の管理組合の財産と混同しないよう明確に区別して管理することです。
マンション管理適正化法第76条により、管理業者に厳格な履行が義務付けられています。
マンションの管理の適正化の推進に関する法律 第七十六条
マンション管理業者は、管理組合から委託を受けて管理する修繕積立金その他国土交通省令で定める財産については、整然と管理する方法として国土交通省令で定める方法により、自己の固有財産及び他の管理組合の財産と分別して管理しなければならない。
引用:e-Gov「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」
シンプルに表現をすれば、
「管理組合のお金は、管理会社のお金とは別に管理しましょう」
ということです。

財産分別管理の3つの方式

| 項目 | イ方式(原則方式) | ロ方式(一部直接保管方式) | ハ方式(一括口座方式) |
|---|---|---|---|
| 口座名義 | 収納口座:管理業者または管理組合 保管口座:管理組合 | 収納口座(管理費等):管理業者または管理組合 保管口座(修繕積立金を直接預入):管理組合 | 収納・保管口座(1つにまとめる):管理組合 |
| 余剰金の移管 | 経費控除後の残額を翌月末日までに保管口座へ移管 | 管理費の残額を翌月末日までに保管口座へ移管 (修繕積立金は直接保管口座へ) | 不要(同一口座のため) |
| 保証契約 | 必要 ※収納口座が管理組合名義かつ印鑑非保管なら不要 | 必要 ※対象は管理費相当額の1か月分 (修繕積立金は含まれない) | 不要 |
りす丸ハ方式は、収納口座と保管口座を分けず、「収納・保管口座」で管理する方法です。
保証契約の考え方


3つの方式を見ていて気になったのが「保証契約」です。
保証契約は、管理業者が管理組合の通帳・印鑑を同時に持てる「イ方式」「ロ方式」の収納口座について、万が一の使い込みなどに備える保険のようなものです。
ハ方式は、管理業者が印鑑等を単独で保管できない仕組みなので、保証契約自体が不要になります。
ここでもうひとつ注意したいのが、保証契約の「対象金額」です。
- イ方式:修繕積立金等金銭(管理費+修繕積立金)の1か月分
- ロ方式:修繕積立金が収納口座を経由しないため、対象は管理費相当額の1か月分
- ハ方式:不要
イ方式とロ方式では、補償が必要でも対象範囲が違います。



管理方式と保証対象となる金額は連動しています。
過去問でも狙われやすいポイントだと思います。
「回収代行方式」との違い、注意点


実はこの記事の下書きを作っていたとき、「ハ方式=回収代行方式」だと思い込んで整理していました。
実務でよく聞く言葉と、法律上の正式な3方式の名前がまぎらわしくて起きた勘違いだったので、注意点として残しておきます。
「回収代行方式」「支払一任代行方式」というのは、管理費等の回収業務を外部の代行会社に委託する、実務上の運用方法を指す言葉です。
法律が定める3方式(イ・ロ・ハ)とは別の切り口の言葉であり、収納口座の通帳・印鑑を管理業者が両方とも保管してしまう旧来のやり方は、現在の規則では原則として認められていません。
試験対策としては、「回収代行方式」のような実務用語が出てきたら、それがイ・ロ・ハのどれかに当てはまる話なのか、それとも別の話なのかを、一度立ち止まって区別する意識を持っておくとよさそうです。



実は「ハ方式=回収代行方式」と勘違い。記事を編集する過程でようやく気付きました。
まとめ 財産分別管理問題の「4大ひっかけポイント」


財産の分別管理に関する過去問からの傾向で、「4大ひっかけポイント」をりす丸なりにまとめました。
- ①印鑑・カードの保管権限(例外の条件)
-
保管口座や収納・保管口座の印鑑、引出用カードなどを管理業者が管理してはいけないことが原則です。
ただし、管理者等が置かれていない場合など、法律上の例外があります。
- ②移管期限の文言チェック
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イ・ロ方式:「翌月末日」(当月末や即日などの表現は✕)
ハ方式:口座が1つにまとまっているため、「移管」という概念自体がない
- ③保証契約の「対象金額」
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保証が必要なケースにおいて、契約金額は「1月分の修繕積立金等金銭等の合計額以上」です。
- ④月次報告の義務
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管理業者は、毎月、会計の収入及び支出の状況を翌月末日までに書面で管理者等に交付しなければなりません。
この整理を踏まえて、次回のVol.13では「重要事項の説明」に進みます。その次は「管理事務の報告」と、実務関連の学習を続けていく予定です。











