民法おさらい その2 善意と悪意の判断「知っていたかどうか」で結論が変わる 【管理業務主任者試験】勉強レポート Vol.19(11/9号)

【管理業務主任者試験】勉強レポート Vol.19(11/9号) 民法おさらい その2 善意と悪意の判断「知っていたかどうか」で結論が変わる
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民法おさらいの、その2です。
その1では、関係図を描いて「誰が、誰に、何を請求できるのか(登場人物の関係性)」を整理しました。

その2では、りす丸のもう一つの苦手ポイント「善意・悪意の見極め」です。
言葉の意味そのものは理解しているつもりでも、問題になると判断を間違えてしまうことがあります。
りす丸も、過去問を解いていて、善意・悪意と過失の有無を混同してしまいました。
そこで今回は、令和3年度の過去問を使って、善意・悪意の判断をおさらいします。

【今回学んだこと】

  • 善意:ある事情を知らないこと
  • 悪意:ある事情を知っていること
  • 善意無過失:ある事情を知らず、知らなかったことに過失もないこと
  • 善意有過失:ある事情を知らなかったものの、知らなかったことに過失があること

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管理業務主任者試験挑戦記

目次

「善意」と「悪意」の意味を確認する

「善意」と「悪意」の意味を確認する

民法用語の「善意」と「悪意」は、良い人と悪い人ではありません。

スクロールできます
用語法律上の意味具体例(無権利者からの購入など)
善意事情を知らない真の所有者ではない人から、その人が本当の所有者だと信じて買ってしまった場合
悪意事情を知っている真の所有者ではないと知っていながら、あえてその人から買った場合

ある事実を知らなかった人(善意者)と、知っていた人(悪意者)とで、法律上の保護の度合いを大きく変えています。

民法では、事情を知らなかった第三者を保護する制度があります。
ただし、どのような場合に保護されるのかは、法律の制度によって異なります。
善意であれば保護される場合もあれば、善意無過失でなければ保護されない場合、善意無過失であっても保護されない場合もあります。

民法に関する2021年の過去問題

※「2026年版 出る順管理業務主任者 過去問題集」より、令和3年度(2021年) 問1の出題です。

【設問】
Aが、Bとの間で、自己の所有するマンションの一住戸甲をBに売却する旨の契約を締結した場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。

【選択肢】
1.Aが、所有権を移転する意思がないにもかかわらず、Bと売買契約を締結した場合に、Bがその真意を知り、又は知ることができたときは、Aは、Bに対して当該契約の無効を主張することができる。
2.Aが、所有権を移転する意思がないにもかかわらず、Bと通謀して売買契約を締結し、所有権移転登記を済ませた後に、BがAに無断で、その事情を知らない第三者Cに甲を転売した場合に、Cにその事情を知らないことについて過失があるときは、Aは、Cに対して、虚偽表示による当該売買契約の無効を主張することができる。
3.Aが、Bの詐欺を理由として当該売買契約を取り消した場合に、Aの取消し前に、Bが、その事情を知らず、かつその事情を知らないことについて過失のある第三者Dに甲を転売していたときは、Aは、Dに対して取消しの効果を主張することができない。
4.Aが、Bの強迫を理由として当該売買契約を取り消した場合に、Aの取消し前に、Bが、その事情を知らず、かつその事情を知らないことについて過失のない第三者Eに甲を転売していたときは、Aは、Eに対して取消しの効果を主張することができない。

正解は1です。りす丸の解答は2でした。
Bが転売したのが事情を知らない第三者Cであるものの、「事情を知らないことについて過失」があるので保護されないと考えました。
しかし、実は保護される第三者は「善意」であればよく、無過失までは要求されていませんでした。

さらに、4つの選択肢のうち2から4にはBから住戸を買った第三者(C・D・E)が登場します。
それぞれの選択肢の要件を整理してみました。

りす丸

関係者が三者になると、りす丸は混乱するようです。

4つの選択肢の違いを整理する

4つの選択肢の違いを整理する

今回の問題では、「心裡留保」、「通謀虚偽表示」「詐欺」、「強迫」という、民法の問題でよく取り上げられる4つのケースに整理できます。
今回の選択肢1は相手方Bの認識、選択肢2〜4は第三者C・D・Eの保護が問題です。

選択肢1:心裡留保

Aが本当は所有権を移転する意思がないのに、Bと売買契約を結んだケースです。
原則として、心裡留保による意思表示は有効です。
ただし、相手方BがAの真意を知っていた場合、または知ることができた場合には、意思表示は無効となります。(民法93条1項ただし書)
この選択肢は正しく、これが正解です。

選択肢2:通謀虚偽表示

AとBは、所有権を移転する意思がないことを互いに知りながら売買契約を結び、Bが事情を知らない第三者Cにマンションを転売しました。
ここで重要なのが、第三者Cが善意であれば、原則として保護されるということです。
そして、事情を知らなかったことに過失があっても、民法94条2項による第三者保護の対象となります。
つまり、通謀虚偽表示では、第三者が善意であればよく、無過失までは要求されません。
そのため、AはCに無効を主張できません。選択肢2は誤りです(民法94条2項)。

選択肢3:詐欺による取消し

AがBの詐欺を理由に売買契約を取り消したケースです。
詐欺による取消しについては、取消し前に現れた第三者が保護されるためには、善意かつ無過失であることが必要です。
今回の第三者Dは、事情を知らなかったものの、知らなかったことについて過失があります。
そのため、第三者Dは保護されず、AはDに対して取消しの効果を主張できます。選択肢3は誤りです。

選択肢4:強迫による取消し

AがBの強迫を理由に売買契約を取り消したケースです。
強迫による取消しでは、第三者が善意無過失であっても、原則として保護されません。
そのため、AはEに取消しの効果を主張できます。選択肢4は誤りです。

善意・悪意の問題は過失の有無も判断する

選択肢2から4のように第三者が登場した場合には、「善意・悪意」にプラスして「過失・無過失」も判断材料として重要です。
今回の問題を整理すると、次のようになります。

スクロールできます
制度第三者保護の条件
心裡留保善意であれば保護される
通謀虚偽表示善意であれば保護される
詐欺による取消し善意かつ無過失が必要
強迫による取消し第三者は原則として保護されない

まとめ:善意と悪意は最終判断に欠かせない要素

まとめ:善意と悪意は最終判断に欠かせない要素

今回、苦手な民法を二つの記事に分けて整理をしました。

  • その1:利害関係の見極め(誰が誰に対して、どのような権利を持っているのか)
  • その2:善意と悪意(事情を知っていたのか、知らなかったことに過失はあるのか)

【その1でまとめた民法問題を考える4ステップ】

  • ステップ1:登場人物を整理する
  • ステップ2:それぞれの権利と義務を確認する
  • ステップ3:利害関係を考える
  • ステップ4:法律上の結論を判断する

善意・悪意と過失の有無は、その1でまとめた4つのステップのうち、最後の「法律上の結論を判断する」ために欠かせないポイントです。

\民法おさらいその1では利害関係についてまとめています/

【管理業務主任者試験】勉強レポート Vol.19(11/9号) 民法おさらい その1 利害関係を整理する

りす丸自身も2本の記事をまとめることで、民法の問題を解くときに何を確認すればよいのか、少しずつ整理できてきました。
次回のVol.20は「おさらい② 会計」です。

前回の記事

【管理業務主任者試験】勉強レポート Vol.18(11/2号) 国交省のひな型で学ぶ長期修繕計画

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管理業務主任者試験挑戦記 次回予告

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【管理業務主任者試験】勉強レポート Vol.19(11/9号) 民法おさらい その2 善意と悪意の判断「知っていたかどうか」で結論が変わる

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