こんにちはマンション現役管理員のりす丸です。
マンションでは居住者の住戸部分を「専有部」、住民みんなで使用する部分を「共用部」と呼びます。
でも、本当にどこまでが共用部で、どこからが専有部か理解していますか?
「ガラス窓の修理は管理組合に請求できる?」
「バルコニーは勝手にDIYしていい?」
「配管の漏水は誰が責任を負う?」
管理員業務のなかでは、こういった質問をうけることもしばしば。
実は、この専有部と共用部の勘違いからトラブルに発展してしまう事例も少なくはありません。
今回の記事では「専有部」と「共用部」の違いや勘違いしやすい事例を現役管理員のりす丸がわかりやすく解説します。
専有部と共用部の基本

専有部と共用部の違いは、ざっくりといえば居住者の住まい部分が専有部、それ以外はすべて共有部となります。しかし、実はマンションによって少しずつ違いがあります。
どこが専有部で、どこが共用部なのか、それはお住いのマンションの管理規約で規定されています。
まずは日本中のマンション管理規約のひな形ともいえる、国土交通省公開の「標準管理規約」の表記を確認してみましょう。
標準管理規約の専有部と共用部
少し難しい文章ですが標準管理規約には専有部と共用部に関して以下のように記述されています。
専有部 ― お部屋の内側、居住者が管理
第7条 対象物件のうち区分所有権の対象となる専有部分は、住戸番号を付した住戸とする。
2 前項の専有部分を他から区分する構造物の帰属については、次のとおりとする。 一 天井、床及び壁は、躯体部分を除く部分を専有部分とする。 二 玄関扉は、錠及び内部塗装部分を専有部分とする。 三 窓枠及び窓ガラスは、専有部分に含まれないものとする。
3 第1項又は前項の専有部分の専用に供される設備のうち共用部分内にある部分以外のものは、専有部分とする。
(引用:国土交通省|標準管理規約)
専有部とは「自由に使える、お部屋の内側」です。
内側の壁の仕上げ(壁紙など)、床の仕上げ(フローリングなど)、天井の仕上げ、キッチンやお風呂などの設備が該当します。
そのため中の壁紙を張り替えたり、給湯器を交換したりなど、原則として居住者が管理・修繕の責任を負います。
共用部 ― 建物や設備、管理組合が管理
第8条 対象物件のうち共用部分の範囲は、別表第2に掲げるとおりとする。
別表第2 共用部分の範囲
1 エントランスホール、廊下、階段、エレベーターホール、エレベーター室、共用トイレ、屋上、屋根、塔屋、ポンプ室、自家用電気室、機械室、受水槽室、高置水槽室、パイプスペース、メーターボックス(給湯器ボイラー等の設備を除く。)、内外壁、界壁、床スラブ、床、天井、柱、基礎部分、バルコニー等専有部分に属さない「建物の部分」
2 エレベーター設備、電気設備、給水設備、排水設備、消防・防災設備、インターネット通信設備、テレビ共同受信設備、オートロック設備、宅配ボックス、避雷設備、集合郵便受箱、各種の配線配管(給水管については、本管から各住戸メーターを含む部分、雑排水管及び汚水管については、配管継手及び立て管)等専有部分に属さない「建物の附属物」
3 管理事務室、管理用倉庫、清掃員控室、集会室、トランクルーム、倉庫及びそれらの附属物
(引用:国土交通省|標準管理規約)
この規約をわかりやすくまとめると、共用部は「マンションをみんなで快適に生活するために共同で使用する」部分です。
建物の構造に関わる柱や基礎、建物の顔であるエントランス、廊下、階段、エレベーターなどは共用部に含まれます。
共用部の建物や設備は、大規模修繕などで管理組合の費用と責任で管理します。

実録!勘違いしやすい「共用部」TOP3

エントランスやエレベーターが共用部というのは、わかりやすいですね。でも、実は管理員は居住者から「ここの故障は自分で修理するの?」といった質問をよく受け付けます。
そこで、りす丸が相談を受けた勘違いしやすい共用部TOP3をわかりやすく解説します。
1.バルコニー ― 専用使用できる共用部

バルコニー(ベランダ)はお部屋と一体化しているので、専有部の一部と思われがちですが、実は「共用部」です。
その部屋の居住者だけが使用できるので、「専用共用部」といいます。
住民の方が「うちの庭だから自由に使える」と思いがちな場所ですが、実は共用部。
その理由は、
- 災害時の避難経路だから
- 外観に影響を与える部分だから
などがあげられます。
たとえば、
こういったトラブルは、本当によく発生します。
りす丸洗濯物を干すのもNG!といったマンションもあるんです。
2.窓ガラス・サッシ ― 外観に関わる共用部


窓ガラスやサッシ、網戸なども、「これは住戸の一部では?」と思いがちですが、安全性やマンションの外観に影響する部分なので共用部です。
そのため、メンテナンスも原則として管理組合負担となりますが、この点はケースバイケースで居住者負担となる場合もあります。
・災害や熱波の影響などで破損した→管理組合負担
・うっかりモノが当たって割れた→居住者負担
・特別な使い方をしていないので経年劣化→管理組合負担
・窓のレバーなどを交換していた→居住者負担
・災害などで敗れた→管理組合負担
・網戸を違うものに交換していた→居住者負担
網戸、外枠は共用部、網部分は専有部と分けている場合もあるので、管理規約を確認してください。



窓や網戸のトラブルは、まずは管理員に相談を!
3.玄関扉 ― 内側は専有、外側は共用


玄関扉も少し複雑です。
①扉本体→共用部
②外側の塗装や装飾→共用部
③内側の表面→専有部
④鍵→ケースバイケース
一般的には扉内部の表面はカラーを変更したりするのはOK、しかし、ドアクローザーは共用設備なので勝手に交換はNGです。
また、玄関の鍵の扱いはマンションによって違います。



扉の外側に装飾飾りをつけている方も多いけど、実は規約違反です。


隠れたトラブル源!見えない場所の境界線(インターネット回線・給排水管)
ここが一番複雑で、トラブルになりやすい部分です。「目に見えないけれど、みんなに繋がっているか?」を基準に考えてみてください。
インターネット回線 ― 縦引きは共用部、横引きは専有部


生活に欠かせないインターネット回線ですが、光ファイバーの配線にも「共用部」と「専有部」の境界があります。


MDFは日本語で主配線盤、外部から光ファイバーが引き込まれて通信回線が集約されている設備です。
IDFは中間配線盤、MDFから送られてきた幹線を、各階の住戸に分配するために中継する装置です。
多くの場合1Fに引き込まれた光回線を上階まで引き延ばすので、IDFまでの配線を「縦引き」そしてIDFから住戸までの配線を「横引き」と表現しています。
つまり、
・縦引き=共用部
・横引き=専有部
とわけられています。
給排水管 ― 住戸内は専有部、立て管は共用部


新築マンションに入居すれば設備はもちろん最新です。給水管や排水管の心配をすることは、まずありません。しかし、20年、30年と築年数が経過していくと、もっともトラブルが発生しやすいのが給水管・排水管です。
もしも、水漏れがおきたら一大事、下の階の住民にも迷惑をかけてしまいます。


つまり、玄関ドアの内側にあるキッチンやお風呂、トイレ、洗濯機などに繋がる配管、そして各住戸のメーター以降の配管はすべて専有部分として扱われます。
給排水管に関しては、「部屋の中から見えないし、気をつけようがないでしょう。」と、管理員もよく言われます。
しかし、規約上は住戸内の配管は居住者の責任範囲になってしまいます。



築年数が古いマンションでは、定期的な点検が欠かせません!
管理員の勘違いにも要注意!
実は 、専有部と共用部の境界線は、管理員自身も勘違いすることがある という点に注意が必要です。
・「前のマンションではこうだった」という思い込みで間違った回答をする
・規約の解釈が難しく、自分の憶測で回答してしまう
こうしたケースは珍しくありません。管理員は建物や設備の専門家ではなく、あくまで住民サポート役です。だからこそ、最終的な判断は 必ず管理規約を確認することが大切です。



現役管理員のりす丸も何度か勘違いで失敗をした経験が…


まとめ :資産を守るために境界を理解する
専有部と共用部の境界を知ることは、単なる知識ではありません。それは、水漏れなどのトラブル発生時にあなたの責任範囲と費用負担を知ること、そして大切な資産を守ることに直結します。
例えば、専有部の給水管からの漏水であれば、修繕費用と階下への賠償責任は原則として居住者負担です。しかし、共用部からの漏水であれば、管理組合が費用を負担します。この境界線を知っているかいないかで、数十万円単位の出費が変わってくる可能性があるのです。
自分のマンションのルールを理解し、主体的に行動することが、快適で安全なマンションライフを送るための第一歩です。この記事を読み終えたら、ぜひ以下の行動に移してみてください。


