マンション現役管理員のりす丸は、毎日200世帯以上の住民の方々と接しています。
マンションは便利で快適、セキュリティも高く、災害にも強い。 こうしたメリットは確かに本物です。
しかしその一方で、共同生活ならではの制約や、思わぬトラブルが発生する現場に遭遇することも少なくありません。
実際、りす丸のマンションでも
「こんなはずじゃなかった」
「住んでみて初めて気づいた」
という言葉を住民の方から聞くこともしばしば。
りす丸の本音を言えば、マンションには「メリットと同じくらいデメリットがある」ということ。
しかし、残念ながらデメリットは住んでから気づくことがほとんどです。なぜならば、購入前にデメリットを語ってくれる方がいないから。
この記事では、これから購入を検討している方、住み始めて違和感を感じている方にとっての、デメリットの正体と対処法をわかりやすく解説します。
管理員が考えるマンションの本質
りす丸は仕事をしながら「マンションとは何だろう」と考えることがあります。
勤務しているマンションは住戸数が約250戸、1住戸に平均3人が居住していれば750人。ファミリー層が多いマンションなので、おそらくマンションの人口は1,000人を超えています。
冷静に考えれば、人口1,000人という規模は、地方のひとつの町よりも大きいのではないでしょうか。
分譲マンションは「縦横につながった一つの町」

マンションを一つのニュータウンとしてイメージするとわかりやすいかもしれません。
ニュータウンには住戸があって、道路があって公園などの施設があります。
マンションの設備と比較してみましょう。
| マンション | ニュータウン(町) |
|---|---|
| 各住戸(部屋) | 一戸建て |
| 共用廊下 | 生活道路 |
| ラウンジ | 公園 |
| 集会室 | 集会室 |
| 排水管 | 下水道 |
| 管理組合 | 自治会/町内会 |
マンションが一つの町というイメージが理解いただけたでしょうか。
そして、管理会社や管理員は町内会のお仕事のお手伝い役として雇われているのです。
つまり、「マンションとは縦横につながったニュータウンの共同体」というのが、りす丸なりの「マンションとは?」の一つの回答です。
価値観、生活リズム、家族構成が違う人たちが縦横につながった町で生活している、これが分譲マンションの現実です。
そう考えれば、いろいろな方がいて、さまざまな行き違いやトラブルが起きてしまうのも納得できてしまいます。
管理費や修繕積立金はマンションの税金のようなもの?
管理員としてよく聞くのが、
「管理費って、何に使われているんですか?」
「毎月払っているけど、正直実感がなくて…」
という声です。
管理費や修繕積立金は、マンションという「町」を維持するためのお金です。
- 一般管理費:町中を清掃したり、壊れた施設などをなおすお金
- 修繕積立金は:大規模な公共工事をするためのお金
いわばマンション独自の税金のようなもの。必ず負担しなければなりません。
分譲マンションの住民には、管理組合や管理会社に対して「マンションを買ってやったお客様だ」という意識の方も中には…
この誤解がトラブルのスタートラインになってしまいます。
りす丸分譲マンションは”町”の中のもうひとつの”町”、すこし複雑です。
管理員が遭遇したマンションならではのデメリット
ここからは、りす丸が実際に現場で経験してきた“リアルなデメリットを紹介します。
【漏水トラブル】分譲マンションは1戸の問題が全体に広がる


マンションで一番多く遭遇するトラブルが漏水です。
上の階の部屋で水漏れを起こして下の階に被害が出てしまう、りす丸も1年に何回も経験しています。
ある時、漏水が起きたので上の階に行ってみると、原因は排水管の目詰まりでした。
よくよく調べてみると、愛犬の体をお風呂場でいつも洗っていて、その時に抜けた毛が詰まりの原因でした。
居住者の方は「毎回しっかり流しているから私のせいじゃない」と言われましたが、少し漏れただけでも下の階では天井から水が落ちてきます。
修理費・補修費・保険などの対応にプラスして、居住者間のトラブルに発展するケースも珍しくありません。



排水管や給水管など、住民が気付かない部分でトラブルが発生しがちです
【騒音問題】生活音でもトラブルになる現実


騒音の相談は、正直に言うと途切れることがありません。
夜中の足音、子どもの走る音、イスを引く音、どれも「普通の生活音」です。
しかし、受け取る側にとっては、毎日の積み重ねが大きなストレスになります。
マンションの中には深夜に活動する方もすくなくはありません。
お隣さんと生活サイクルが違うのは仕方がないことです。
しかし、夜中に寝ている時にはちょっとした足音も響いてしまうときがあります。
また、キッチンで魚を焼いていたら煙を出して火災報知器が全館鳴動したという事件も。
マンション生活では近隣への気配りが自由な生活を制限する場合もあるのです。



顔を合わせたときにひとこと挨拶をすることで、近隣の印象は大きく変わります
【専用使用権】バルコニー・駐車場は自分の所有物ではない


「全戸駐車場付き」や「広いバルコニー付き」などの物件にひかれて購入される方も少なくはありません。
しかし、この駐車場やバルコニーは付いていても「自分のもの」ではありません。
これらは専用共用部といい、「マンションの共用部だけど専用で使用していいですよ」という位置づけです。
特にバルコニーは外観や防災にも影響する部分なので、管理規約で使用ルールが細かく設定されています。
マンションの「共用部」と「専有部」の分かれ目と注意点に関してりす丸なりにまとめました。
こちらの記事も合わせてお読みください。
バルコニーでBBQをしていたら煙のせいで消防署に通報されたり、洗濯物干していたら外観に影響があると管理組合から注意されたり、意外とトラブルが多いのがバルコニーです
間違えやすい「専有部」と「共用部」のボーダーラインに関してわかりやすく解説しました。
こちらの記事も合わせてお読みください。



バルコニーのルールはマンションによってずいぶん違うので要チェックです!
【管理組合】理事会役員は、いつか必ず回ってくる


マンションを購入すると、自動的にマンション管理組合の組合員になります。
マンション標準管理規約
第6条 区分所有者は、区分所有法第3条に定める建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体として、区分所有者全員をもってマンション管理組合を構成する。
(引用:国土交通省HP|マンション標準管理規約)
管理組合を運営する理事会の役員は、必ず順番が回ってきます。
そして、この管理組合の役員は原則ことわれません。
理事会役員になると、毎月の理事会参加やイベントの実施など、忙しい中にもコミュニティへの参加が求められます。
役員になってはじめて、「管理組合ってこんなに大変だったのか」と実感するでしょう。



理事会役員は「やってよかった、色々なことが分かった」と前向きに評価する方も多いです。


【リフォーム】リフォームは「自由にできる」と思うとギャップが大きい


分譲マンションも何年か住んでいると、リフォームをしたくなります。
しかし、実はマンションでは管理規約にプラスして「リフォーム細則」などの規則で、リフォームに関するルールが細かく設定されています。
マンションの住戸は、なんでも自由に変更できるわけではありません。
たとえば、扉は共用部なのでフォームは内側の色変更だけ、窓は共用部なので自由に交換はできません。
マンションによっては、壁紙や床材などの材質まで規定されているケースもあります。
さらに「リフォーム細則」では、工事の時間帯や管理組合への事前申請、近隣住戸への告知など、かなり細かい規則に驚くかもしれません。



リフォーム細則を守っていただくようお願いするのも管理員の仕事です!
現役管理員おすすめ、デメリットへの対処法
ここまでお伝えしたマンションのデメリットは、管理員をしていると本当によく遭遇する事実ばかりです。
そして、住民の方からご相談をいただいたときには、デメリットに対処する3つのポイントをご紹介しています。
「管理規約」はマンションのバイブル


マンションでは必ず「管理規約」で細かいルールが定められています。
迷ったときには管理規約で確認するのが最善策、りす丸の仕事もこの管理規約を守ることです。
新築であれ、中古であれ、マンションに入居する際には、必ず管理規約を受け取っているはずです。
しかし、この管理規約が実は結構やっかいで、数十ページの冊子になっていて、どこを読めばいいのかわからないかもしれません。
そこで、管理規約のなかでも住民の方々が理解するべき10個のポイントをわかりやすくりす丸がまとめました。
ぜひ合わせてお読みください。



管理規約は面倒ですが、実は“住民を守るための盾”でもあります。
マンションのコミュニティになじむ


マンションはプライベート感覚が強いようで、意外と住民間のつながりがしっかりと出来上がっています。
マンションライフを楽しむコツは、このコミュニティを楽しむこと。
管理組合が実施するイベントなどに顔を出して、コミュニケーションが良好になれば、多くの問題が解決します。



思い切って理事会役員に立候補するのもおすすめです!
購入前にしっかり確認する


新築マンションに入居するのであれば、コミュニティはこれからみんなで気づき上げていくものです。しかし、中古マンションを購入するのであれば、現在のコミュニティに参加していかなかればなりません。
しかし、購入するマンションのデメリットを教えてくれる仲介会社は少ないでしょう。
その際にぜひ確認をおすすめするのが3つの書類です。
- 直前の総会の議案書と議事録
- 長期修繕計画書
- 点検や修繕の履歴
総会の議案書と議事録をみれば、マンションの現在の課題が見えてきます。
長期修繕計画書を見れば、マンションの税金「修繕積立金」が適正に使われているかわかります。
点検や修繕の履歴をきちんとのこしている管理組合であれば、一般管理費もしっかりと管理されています。
そのうえで、ぜひヒアリングしてほしいのが、
- 数年間の管理費の値上げ状況
- 組合の損害保険の利用状況
このふたつを確認すれば、一般管理費の運用状況がおおよそわかります。
そして、ぜひ事前に購入候補のマンションを訪問して、お住まいの方に声をかけてみてください。明るくご挨拶ができればOKです。
もちろん管理員にもぜひお声がけを、りす丸は、いつも良いところも課題もきちんとお話しするようにしています。
まとめ:デメリットを知れば分譲マンションはもっと快適になる


マンションのデメリットをここまでご紹介しましたが、マンションライフを決して否定しているわけではありません。
守るべき規則がしっかり決められているということは、
- 防犯・防災面の安心感
- 管理体制がある
- 共用部の維持管理
というメリットにもつながっています。
「マンションは共同生活」という前提を受け入れられるかどうか。
ここが、マンションライフを快適にできるかどうかの分かれ目だと、管理員として強く感じています。



管理員も皆様のおやくにたてるよう、頑張ってます!


このブログは、マンションを否定するためのものではありません。
「こんなはずじゃなかった」を減らすために、現場で見てきた現実を正直に伝えています。
分譲マンションを検討している方も、すでに住んでいる方も、管理員という立場からの一意見として受け取っていただければ幸いです。
マンションのデメリットに関するFAQ(現役管理員が回答)
- 騒音トラブルがあった時、管理員さんに言えば解決してくれますか?
-
正直にいうと、管理員に「解決する強制力」はありません。
りす丸にできるのは掲示板での注意喚起や状況確認までです。マンション内には警察のような権限を持つ人はいませんので、基本は当事者同士の話し合いになります。 - 理事会の役員をどうしても断りたいのですが、無理でしょうか?
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多くのマンションでは、正当な理由(長期入院や介護など)がない限り、拒否は難しいのが現実です。
「仕事が忙しい」という理由は皆さん同じ条件なので、通用しないことが多いですね。最近は役員負担を減らす「第三者管理方式」を導入する物件も増えているので、提案してみてはいかがでしょうか。 - 上の階から水漏れが起きた際、修理代は誰が払うのですか?
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基本的には「原因を作った側」の負担になります。洗濯機のホース外れなどの過失なら居住者、共有の配管トラブルなら管理組合の保険など、ケースバイケースです。万が一の加害者・被害者両方の立場に備えて、個人でも必ず「個人賠償責任特約」付きの保険に入っておくことを強くおすすめします。
- 中古マンションの内見時、どこをチェックすれば「住民の質」がわかりますか?
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ズバリ「ゴミ置き場」と「掲示板」を見てください。
ゴミの分別が乱れているマンションは、ルールへの意識が低い傾向があります。また、掲示板に「騒音注意!」などの厳しい警告文がずっと貼ってある場合は、現在進行系でトラブルが起きている証拠です。これらは不動産資料には載らない生の情報です。 - ベランダに物置を置いたり、家庭菜園をするのは自由ですよね?
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ベランダは「共用部」であり、火災時の避難経路でもあるため、避難の妨げになる大きな物置などは置けません。また、大量の土を使う家庭菜園も、排水溝の詰まり(下の階への漏水原因)を招くため制限されていることが多いです。やりたいことがある場合は、事前にマンションの「使用細則」を必ずチェックしてください。





