【現役管理員が解説】マンション修繕積立金の相場はいくら?値上げ理由と確認すべき6つのポイント

マンションの修繕積立金について説明しているりす丸のイラスト

こんにちは、マンション現役管理員のりす丸です。
マンション生活で一戸建て住宅にはないもの、それは「管理費」「修繕積立金」です。
管理費は清掃や警備、点検などにかかる費用で日々の暮らしに直結します。
しかし、「修繕積立金」とはいったい何に使われる費用でしょうか。

管理員室にいると、
「修繕積立金って、正直なところ何に使われているんですか?」
と聞かれることがとても多いです。
入居時に説明は受けたけれど、毎月きちんと払っているわりに実感がわかない。そう感じるのは、ぜんぜん不思議なことではありません。

この記事では修繕積立金の基本知識と、住民として知っておきたいポイントを、
現役管理員の立場から、できるだけやさしく解説していきます。

※本記事は、現役マンション管理員としての実務経験と、国土交通省公開資料をもとに一般的な情報提供を目的として作成しています。
個別の金額や判断については、各マンションの管理組合資料をご確認ください。

目次

修繕積立金とは?管理費との違い

以前りす丸も出席していた総会で住民から「どうして修繕積立金が別で必要なんですか?」という質問がありました。
住民にとっては管理費も修繕積立金も同じ支払うお金なので違いがわからない、と感じていたようです。

実際には、管理費と修繕積立金は役割が違います。

  • 管理費:清掃、点検、管理員人件費など「今の暮らし」を支えるお金
  • 修繕積立金:将来の大きな修繕工事に備えてコツコツ貯めるお金

つまり、管理費は日常の生活のためのお財布、修繕積立金は将来に備えた定期預金と考えればわかりやすいのではないでしょうか。

管理費と修繕積立金の違いに関して、より詳しく知りたい方はこちらの記事を合わせてお読みください。

修繕積立金は何に使われる?具体的な使い道

修繕積立金の使い道を説明しているりす丸のイラスト

修繕積立金は、マンションの建物や設備を維持するために計画的に使用する資金です。

1.大規模修繕工事

修繕積立金使い道として中心となるのが「大規模修繕工事」です。
大規模修繕工事とは、

  • 外壁補修・塗装
  • 屋上やバルコニーの防水工事
  • 鉄部の塗装
  • 給排水管など設備の更新

これらの工事の手間も費用もかかる修繕を一気にまとめて実行する工事、10年から15年に1回程度実施されます。

2.設備更新

そして大規模修繕工事以外にも、経年劣化していく設備の更新などに使用されます。

【計画更新が必要な主な設備】

・エレベーター
・インターフォン
・消防設備
・機械式駐車場

もちろん、これらの修繕は計画的に実施しなければならないので、管理組合では「長期修繕計画」を作成して、その計画に沿って修繕積立金を運用しています。

りす丸

「長期修繕計画」や「大規模修繕工事」に関しては、次回の記事で詳しく解説します。

国土交通省も示している「修繕積立金が必要な理由」

長期修繕計画ガイドラインを勉強しているりす丸のイラスト

「修繕積立金って、本当にそこまで必要なんでしょうか?」
管理員として、この質問を受けることは少なくありません。
実はこの点について、国土交通省の『長期修繕計画ガイドライン』には、はっきりとした考え方が示されています。

第1節 長期修繕計画の作成及び修繕積立金の額の設定の目的等

マンションの快適な居住環境を確保し、資産価値を維持するためには、適時適切な修繕工事を行うことが必要です。また、必要に応じて建物及び設備の性能向上を図る改良工事を行うことも望まれます。そのためには、将来見込まれる修繕工事や改修工事の内容・時期・概算費用を明確にし、計画修繕工事の実施のために積み立てる修繕積立金の額を設定することが不可欠です。
国土交通省「長期修繕計画ガイドライン」より要旨引用)

国土交通省ではマンションの住民に、「マンションは、壊れてから直すのではなく、
あらかじめ計画して、お金も準備しておきましょう」
と推奨しているのです。

りす丸

計画的な修繕が結果的に費用の削減にもつながります

マンション修繕積立金の相場はいくら?

修繕積立金のマンションの規模別相場を検討しているりす丸のイラスト

「このマンションの修繕積立金高すぎない?」
そんな相談を管理室では受けることがあります。
国土交通省が実施している「令和5年度マンション総合調査」によると、修繕積立金の全国平均月額は約13,054円です。
そして、この修繕積立金の平均額は年々上昇しています。

年度平均(月額)
1999年約7,378円
2018年約11,243円
2023年約13,054円

(国土交通省の比較データを参考に算出)

国交省データをもとにマンション築年数ごとの相場の目安を一覧にしました。

築年数修繕積立金の目安(月額・1戸)りす丸の補足
新築~築10年約6,000~10,000円 最初は低め
築10~20年約10,000~14,000円大規模修繕を意識し始める
築20~30年約14,000~18,000円修繕費値上げが本格化
築30年以上約18,000円~一時金や大幅値上げが話題

また、平米目安単価は20階建て未満のマンションなら月額200円〜330円/㎡程度が目安と国交省ガイドラインに記載されています。70㎡の部屋なら、月14,000円〜23,100円くらいが適正範囲ということですね。

上記の相場はマンションの規模やグレード、立地などによって変わります。あくまでも参考数値として参照してください。

修繕積立金が値上げされる理由

修繕積立金のふたつの方式を解説するりす丸のイラスト

「修繕積立金って、最初は安かったのに、なんでこんなに上がるの?」
これも、りす丸が現場で本当によく聞かれる疑問です。
実はこの値上げの理由は、国土交通省の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」を読むと、かなりハッキリしています。
修繕積立金の集め方には、大きく分けて 2つの方式があるんです。

① 均等積立方式

毎月ほぼ同じ金額を積み立てていく方式
将来必要な資金額を見据えて毎月同額をコツコツ積み上げていく「均等積立方式」は毎月の負担は最初からやや高めになりますが、計画が安定し将来の値上げが起こりにくいメリットがあります。

② 段階増額積立方式

築年数経過に応じて段階的に金額を増やしていく方式

「段階増額積立方式」方式は新築当初の積立金が低く抑えられるメリットがあり、経年劣化に応じて金額を増加させていくので後半になるほど値上げが大きくなっていきます。

りす丸

「段階増額積立方式」による修繕積立金の値上げがトラブルの一因になるケースがあります

修繕積立金の値上げを止めることはできるのか?

結論から言えば、修繕管理費の値上げを止めることは難しいでしょう。
計画的に均等積み立て方式を採用したとしても、人件費や資材、設備機器の値上がり等は止められません。
大切なのは、その値上がりをできるだけ少なく抑えるという努力です。

りす丸

住民のみなさんが関心を持つことが、値上げ抑制のもっとも効果的な方法です

なぜ段階増額方式のマンションが多いのか?

ここが、とても大事なポイントです。
国交省は均等積立方式を推奨しています。それでも現実には、段階増額積立方式のマンションが多数派です。
その理由を考えてみました。

  • 新築時の“見た目の安さ”を優先しているから
  • 管理費+修繕積立金が安く見える
  • 購入時の月額負担が小さく感じる
  • 将来の値上げは、まだ先の話

段階増額積立方式のマンションでは、購入時の説明で「将来は段階的に上がります」と、サラッと説明されることが多いのですが、この一言を聞き逃してはいけません
段階増額方式の最大のデメリットは、値上げが追いつかずに「大規模修繕時に一時金(数十万〜百万円単位)を請求される」リスクです。

中古マンション購入時に修繕積立金で注意すべきこと

特に中古マンションを購入する場合には、修繕積立金の過去の金額と今後の長期修繕計画のチェックは超重要、入居してすぐに値上げ!ということになってしまうケースも考えられます。

りす丸

マンション購入時には気が付いていない方がほとんどです

修繕積立金の積立方式セルフチェックリスト

修繕積立金を住民とチェックしているりす丸のイラスト

「うちのマンション、均等積立方式なのか、段階増額積立方式なのか分かりません…」というかたがほとんどではないでしょうか。
りす丸が理事会に参加していても、実は理解していない役員の方がとても多いと感じています。

そこで、積み立て方式が判定できるチェックリストをりす丸が作成しました。

  • 新築時、修繕積立金がかなり安かった(月3,000円~5,000円程度だった記憶がある)
  • 入居後、数年の間に値上げがあった(または予定されている)
  • 「将来、段階的に上がります」と説明を受けた記憶がある
  • 長期修繕計画を見たことがない/内容をよく覚えていない
  • 修繕積立金の値上げの話になると、住民の反発が大きい
  • 大規模修繕のたびに「お金が足りるか」が話題になる

このチェックリストに3個以上当てはまると段階増額積立方式の可能性が高いと考えられます。
ただし、段階増額積立方式が悪いというわけでは決してありません。
大切なのは段階的な値上げを住民の方々が理解して計画的に進めていくことなのです。

りす丸

理事会に「長期修繕計画」を見せてください、と頼んでみましょう

まとめ:修繕積立金は必要なお金です

住民に長期修繕計画書を見せているりす丸のイラスト

毎月支払う修繕積立金は、正直、軽い負担ではないとりす丸も思います。
しかし、積立金が不足したばかりに、「設備を修理するために数十万円一時金を徴収された」という事例も経験しています。

大切なことは相場や値上げの理由を理解して将来に備えること、そして、今すぐ自分のマンションの積立金をチェックすることで、将来の不安を減らすことができるのではないでしょうか。
修繕積立金の根拠となる「長期修繕計画書」は管理組合で保管しています。そして、りす丸に相談してもらえればいつでも見ることができます。
いつでも管理室のりす丸に「修繕計画書をちょっと見せて」と声をかけてください!

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