こんにちは、マンション現役管理員のりす丸です。
マンションで生活していると、一度は管理会社に何かを相談した経験があるのではないでしょうか。
また、同時に
「管理会社の対応が遅い」
「連絡しても動いてくれない」
「正直、何をしているのかわからない」
といったマンション管理会社への不満も、長く管理員を務めていると本当によく相談されます。
りす丸のような管理員は、居住者の声と管理会社との間に立って調整するのも重要な仕事として取り組んでいます。
その中で強く感じるのは、実は、住民の方々が不満を抱くのと同じくらい、管理会社の営業担当(フロント)も多くのジレンマを抱えながら仕事をしているということです。
今回の記事では、住民の立場に寄り添いながら、
「管理会社は本来どんな役割を担っているのか」
「どこまで期待できて、どこからは難しいのか」
を、管理会社の担当や現役管理員の本音も交えて、できるだけわかりやすく解説します。
マンション管理会社の役割とは?雇用主は管理組合
りす丸が管理しているマンションでも、
「部屋の電気がつかなくなった」
「壁紙がはがれた」
「お隣から騒音がする」
など、何でも管理会社に対応を求めてくる住民は少なくありません。
なかには、いきなり怒っている方も。
管理員としては、まずは落ち着いてお話をうかがうのですが、正直、「これは管理会社の対応範囲ではないな…」と感じることがとても多いです。
管理会社は「住民の便利屋」ではない

マンション住民の多くの方が、管理会社を「マンションのことなら何でもやってくれる会社」と思っているかもしれません。
しかし実は、管理会社の本来の立ち位置は管理組合から業務を委託されているサポート役です。
そして管理会社の業務範囲は管理組合との「業務委託契約」によって細かく決められています。
- 会計業務
- 管理員業務
- 清掃業務
- 設備点検業務
- 理事会・総会のサポート
(参考:国土交通省発行「標準委託契約書」)
つまり管理会社は、 住民全員の便利屋さんではなく、管理組合(理事会)のパートナー
という立場なんですね。
そして、おもな役割のなかに「管理員」も含まれています。
りす丸のような管理員も実は専有部に関する相談は業務内容に含まれていない場合が多いのです。
理事会の役割を理解すると、管理組合の役割も理解できます。
理事会とは?役員の選ばれ方・運営・果たすべき役割までやさしく紹介!
分譲管理会社と賃貸管理会社の役割の違い

それでは、なぜ住民と管理会社との間でこのような認識のズレが起きてしまうのでしょうか?
それは、多くの住民の方が賃貸アパートから分譲マンションに入居する方が多いからなのです。
同じ「管理会社」という名前でも、分譲マンションの管理会社と賃貸物件の管理会社では役割がまったく違います。
- 賃貸の管理会社
-
管理会社は「大家さんの代理人」であり、入居者は「お客様」です。設備が壊れれば大家さんの費用で直すのが基本です。
- 分譲の管理会社
-
管理会社は「管理組合(住民の集まり)から業務を委託されたパートナー」です。自分の部屋のトラブルは自分で対応が基本です。
つまり、管理会社の本来業務は住民の皆さんに雇われている「理事会の事務局」のような存在です。そのため、管理会社は「契約で決められた範囲」のことしかできない仕組みになっています。
ここを勘違いしてしまうと、「高い管理費を払っているのに何もしてくれない」という不満に繋がってしまうのです。

マンション管理会社が「動かない」と感じる本当の理由
りす丸が住民の相談を受けたときに「管理会社の本来の役割が誤解されているなあ」という思いが本音です。
それでは、なぜ多くのマンションで管理会社への不満が巻き起こってしまうのでしょうか。
その理由をりす丸なりに考察してみました。
管理会社の対応範囲はマンションごとに違う

管理会社の基本的な守備範囲は、管理組合業務と共用部の維持管理です。
しかし、この守備範囲はお住まいのマンションとの契約内容やマンションのグレードなどによっても違いがあります。
タワーマンションや高級分譲マンションでは、管理会社の本来業務にプラスして、専有部へのキメ細かいサービスを提供している場合も少なくはありません。
「コンシェルジュサービス」などとよくいわれますが、この専有部対応も実は管理組合と管理会社の委託契約でどこまでの対応をするかが決められています。
もちろん、専有部へのサービスが充実しているほど管理費も高くなります。
管理費をできるだけ低く抑えるために、管理会社の守備範囲を最低限に抑えたいと考える管理組合が多いのは事実です。
一方で実際に生活している住民の方々は、できるだけ充実したサービスをしてほしいと考えるのは当然です。
このギャップが不満の原因の一つです。
りす丸住民からの相談にはできるだけお応えしたいのですが、契約外の仕事をしてしまうと、あとで管理会社からお叱りを受けてしまうことも実際あるのです。
管理会社の営業担当(フロント)が忙しすぎる現実


営業担当は管理業務主任者の国家資格を持つ方がほとんどですが、実際には一人の営業担当が多くのマンションを担当しているのが現実です。
そして、それぞれの理事会で毎月「議案書」を作成し「出席」し「議事録」を作成して、決定事項の手配などをしなければなりません。
マンションの理事会は土日に開催されることが多く、理事会出席だけで週末はすべて仕事です。
自分自身の休日をとりながら複数マンションの担当をするのは、りす丸から見ていても「大変だな~」と感じてしまいます。
「もっとマンションのために何かをしたい」、「担当マンションを訪問したい」と考えていても、それができないジレンマを抱えている担当者がとても多いのです。
また、一般社団法人マンション管理業協会のホームページでは、営業を担当する管理業務主任者の人数と管理しているマンション数が確認できます。
あくまでも目安ですが、一人の営業が何棟のマンションを担当しているのかがわかります。



お住まいのマンションの営業担当が何棟担当しているかを一度聞いてみてはいかがでしょうか。
管理会社には決定権がない


今回の記事でりす丸が一番お伝えしたいポイントです。
管理会社はマンションのオーナーではなく、最終的な決定権を持っているのは、あくまで管理組合です。
例えば、
- 修繕を実施するかどうか
- 業者をどこにするか
- 予算をいくら使うか
こうしたことは、管理会社が勝手に決めることはできません。
管理会社の基本はマンションごとの「管理規約」に沿って管理業務をサポートをすることなのです。
また、修繕がなかなか進まない理由は、修繕計画や積立金とも深く関係しています。


実際に住民から修繕対応の依頼が合った場合の流れを確認してみましょう。
- 住民から管理員へ相談
- 管理員から管理会社へ報告
- 管理会社から理事会へ提案
- 理事会で検討・決定
管理会社が動くには、上記のようなプロセスをふまなければなりません。
そうすると、どうしても対応に時間がかかってしまい、 「対応が遅い」「やる気がない」と感じられてしまうケースも発生してしまいます。



りす丸も管理会社の一員として、この板挟みに悩むことがしばしば…
りす丸の本音:仕組みを理解して管理会社を上手に使おう!
りす丸が管理員をはじめてもうすぐ10年、これまで4棟のマンションの管理員を経験してきました。
そして、ほとんどのマンションで住民と管理会社の間でのトラブルを経験しています。
なかには不満が爆発して管理会社を変更したマンションもありました。
しかし本音をいえば、「もう少しお互いが理解しあえば折り合いがついたのになあ」と考えてしまいます。
住民の要望がすぐに実現しない背景には、
- 決定権が理事会にある
- 契約で業務範囲が決まっている
- 担当者が複数棟を抱えている
という構造的な理由があります。
マンション管理会社の立場や役割、管理費や管理規約との関係を理解したうえで上手に付き合うことが、マンション全体の住み心地を良くする近道です。
管理会社とうまく付き合うための4つのコツ


ここで、管理会社の担当者とうまく付き合うコツをりす丸から提案します。
- できるだけ具体的に相談をする
- 管理会社で対応できる内容かを確認する
- 何をいつまでにしてほしいのかを明確にする
- 「感謝」の言葉を伝えよう
相談する際には言葉だけではなく、写真や動画などをそえるとわかりやすいですよね。また、いつまでに回答が欲しいと明確にすれば担当者も優先順位がつけやすくなります。
そして、最後に「ありがとう」のひとことをプラスしてもらえれば担当者のモチベーション爆上りが間違いありません!
※本記事は筆者の経験に基づくりす丸の個人的な見解であり、具体的なトラブル解決については管理組合や専門家にご相談ください




