地震・台風・火災、さらには空き巣や不審者の侵入。マンションに住んでいれば「オートロックもあるし、防犯カメラもあるから大丈夫」と思いがちです。しかし、実際に現場を見ていると「ちょっとした油断」や「点検不足」が原因で、防災・防犯の力が大きく低下してしまうケースが少なくありません。
そこで今回は、現役マンション管理員の視点から、日常生活の中で見直してほしい 「防災・防犯チェックポイント10選」 をご紹介します。
ご自宅やマンションに当てはめながら、一緒に確認してみてください。
【防災編】災害に備えるための5つのチェックポイント

1.避難経路は確保されていますか?
廊下や階段に私物を置いてしまうと、いざというときの避難の妨げになります。特に自転車や植木鉢、傘立てなどは意外と見落とされがち。日常から通路は常に空けておくことが命を守る第一歩です。

「ちょっと置いておくだけ」が習慣になると危険です。定期巡回で注意される前に、自主的に片付けましょう。
2. 消火器や火災報知器は点検済みですか?
消火器は10年程度で交換が必要です。古いまま放置していないか、管理組合の点検結果を確認しましょう。火災報知器も、作動試験がきちんと行われているかが重要です。



管理組合が実施する「消防設備点検」は最低年に1回以上、必ず点検を受けましょう。
3.非常用照明は点灯しますか?
停電時に自動点灯する非常用照明は、普段は目立ちませんが、災害時には欠かせません。電池切れや不具合がないか、管理会社や管理員が点検しているかを確認してみてください。



共用部の電球もLED化されていれば安心、管理組合に提案してみましょう。
4. 備蓄品は十分ですか?
マンションによっては集会室や管理室に水や非常食を備えている場合があります。また、救助用具や救急用品などを揃えた「防災倉庫」の設置もおすすめです
しかし数量が限られるため、各家庭でも最低3日分の水と食料を備えることが大切です。



優秀なマンション管理員ならば、マンションの備蓄品のリスト化も完璧!ぜひ確認してください。
5.防災訓練は実施されていますか?
マンションの防災訓練は、毎年最低1回は実施することが推奨されています。お住いのマンションでは開催されていますでしょうか。
管理組合が主催する防災訓練では、地域の消防署などの協力で消火器を使用した消火訓練や、AED使用体験なども実施できます。



マンションの防災訓練には積極的に参加しましょう。意外な気づきがあるかもしれません。
【防犯編】安心して暮らすための5つのチェックポイント


6. オートロックや防犯カメラは正常に稼働していますか?
設備があっても、カメラが壊れていたり、オートロックを「つい開けっぱなし」にしていたりすると意味がありません。点検結果の掲示や、扉の閉まり具合を普段から確認しておきましょう。



防犯カメラのモニターやオートロックシステムは管理室に設置してあります。見学してみましょう。
7. 出入口の施錠は徹底されていますか?
「ちょっとゴミ出しだから」と玄関を開けたままにするケースや、裏口のドアを閉め忘れるケースは非常に危険です。不審者が入り込むきっかけになります。
エントランスがオートロックのマンションでは、玄関に鍵をかけない方が意外に多いんです。
最近では置き配などで外部からの訪問者も多くなっています。オートロックは万能ではありません。



マンションのエントランスがオートロックでも用心が必要、玄関は必ず施錠しましょう。
8. 宅配ボックスや郵便受けは狙われていませんか?
ネット通販の増加とともに、宅配ボックス荒らしや郵便物の盗難が増えています。不審な開錠跡がないか、郵便受けが鍵がかかるタイプかどうか確認し、必要なら補助施錠を検討しましょう。



不用意な置き配は不審者をマンションに呼び込む原因になるかもしれません。
9. 住民同士の声かけ・見守り文化を育てよう
マンションライフはプライバシーが保たれているのが魅力の一つ、しかし、住民同士が顔見知りになることが不審者の侵入を防ぐ力になります。



朝のご挨拶は管理員から! いつも心がけています。
10. 不審者やトラブル発生時のルールは共有されていますか?
「誰に連絡すればいいのか」が明確でないと、対応が遅れます。もしものことが起こった場合の管理員・管理会社・警備会社・警察への連絡ルートや方法を掲示板などに掲示しておくことで、万一のときにスムーズに動けます。



少しでも不審に感じたことがあれば、いつでも管理員に知らせてください。
マンションの防災・防犯はまずは「知ること」から始めよう
お住いのマンションの防災・防犯をチェックするには、まずは、お住いのマンションの設備や管理組合が実施している対策を知ることから始めましょう。
備えあれば憂いなし。
現場での経験から言えるのは、何も起きていない今こそ、チェックするチャンスです。
次回から、マンションの防災・防犯チェックポイント10選をひとつづつ詳しく解説します。