【マンション管理員とは】仕事内容・役割・限界まで現役管理員がやさしく解説

マンションに住んでいると、毎日のように見かける「管理員さん」。
でも、その仕事の中身を詳しく知っている人は意外と少ないかもしれません。「掃除をしてくれる人」「受付の人」そんなイメージだけでは語り尽くせないのが、管理員という仕事の奥深さです。
この記事では、マンション管理員の基本的な仕事内容から、管理会社・管理組合・居住者との関係性、マンションの規模による業務の違い、そして「マニュアルの壁」という限界まで、現役管理員の視点でやさしく解説します。

目次

マンション管理員は管理会社から派遣されています

管理員はマンションの運営全体を委託管理されている管理会社から派遣されています。
マンションの管理は、居住者が加入する「管理組合」が主体ですが、実務は管理会社に委託するのが一般的です。管理会社は、設備保守・清掃・会計・トラブル対応などを担い、現場対応のために管理員を派遣します。

皆様は居住しているマンションの管理会社をご存じでしょうか。
管理組合が直接管理員を雇用している場合もありますが、これは本当にレアケースといえるでしょう。
マンション管理組合と管理会社の関係や、良い管理会社と悪い管理会社の見分け方なども発信していくので楽しみにしてください。

マンション管理員の基本的な役割とは?

エントランスや受付でニコニコしていたり、マンション内のあちこちを巡回していたり。マンションライフでは管理員をよく見かけるのではないでしょうか。
しかし、マンション管理員の仕事の範囲や役割を本当に知っている方は意外と少ないかもしれません。
マンション管理員の仕事は、大きく分けて以下のような仕事に分類されます。

そして、これらの仕事はマンションの規模やグレードによって管理委の守備範囲が違ってきます。

管理員の業務はマンションの規模によってかわります

50戸未満の小規模マンションでは全ての仕事をほぼ管理員一人で対応しています。中規模マンション以上では、清掃は専門スタッフが担当する場合が多く、大規模マンションではフロントでコンシェルジュが対応します。
ただし、これも一般的な傾向です。実際にはマンションによって管理員の守備範囲はまちまち、マンションによってかなり違いがあります。

業務小規模(50戸以下)中規模(〜150戸)大規模(200戸以上)
日常清掃 管理員が担当専門スタッフ担当専任清掃員が担当
設備点検 管理員が巡回管理員が巡回管理員が巡回
居住者対応 管理員が対応一部フロント対応コンシェルジュ対応
書類管理 管理員が作成管理員が作成フロントと分担
報告業務 管理員が報告管理員が報告管理員が報告

表の中の「フロント」は管理会社の営業担当者「コンシェルジュ」はマンション受付の担当者(ほぼ女性が多い)です。また、中規模以上のマンションでは館内の清掃は専門の清掃会社に外注され、マンション内の巡回も警備会社の担当者が常駐している場合が多く、時間などを調整して共同で巡回をするケースが多くなります。

ただし、これも一般的な傾向です。実際にはマンションによって管理員の守備範囲はまちまち、マンションによってかなり違いがあります。

そして管理員の仕事内容は、管理会社から支給される「マニュアル」で規定されています。大げさに言えば、管理員は「マニュアルに規定された仕事以外はやってはいけない」という縛りの中で仕事をしています。

りす丸

マニュアルの内容は管理会社によってずいぶん違うんだよ!

管理員の仕事のリアル:現場エピソード

りす丸が毎日勤務している中で実際に体験した現場エピソードをいくつかご紹介します。

①日常清掃の裏側

掃除だけじゃないのが管理員の清掃業務です。
以前、非常階段に「大きなウ〇コ」が落ちていたことがありました。ペット可マンションなので犬かと思いましたが、サイズと臭いが尋常じゃない…。やむなく除去・消臭・カーペット交換まで対応。これも管理員の仕事です。

次回は、清掃を効率化する便利グッズやコツを紹介します。

②設備点検の勘どころ

設備点検は「異臭・異音・振動・汚れ」を見逃さないことが大切。
りす丸は、壁紙に小さなシミを見つけたので、天井をのぞいてみたら送水管から少しずつ水漏れしているのを発見したこともありました。
主な設備は「消防設備」と「排水設備」と「電気設備」の3種類、 毎日の巡回が、トラブルの未然防止につながります。

次回は、設備点検で役立つアイテムやよくあるトラブル事例を紹介します。

③居住者対応の難しさとやりがい

マンション管理員の居住者対応の2本柱は、契約や申請の受付とご意見ご要望の受付です。
契約や申請では、駐車場や駐輪場、バイク置き場などの使用に関する申し込みと契約書の取得など、さらに集会室やラウンジなどがあれば、利用予約などの受付も管理員の仕事です。
また、マンションの管理に関するご意見やご要望も管理員が受け付けます。
原則として管理員は共用部の管理が仕事の範囲なので、専有部や居住者間のもめ事などは業務対象外です。
しかし実際にはこの線引きがとてもあいまいで、お聞きした要望が、「これは管理員の守備範囲外だな」と思っても、「対象外です」とはとても言えません。

りす丸も現在のマンションに勤務して3年以上たつので、多くの居住者と顔見知りになりました。とても良いことなのですが、承るご意見も増えています。
そこを上手にお応えするのが、管理員の腕の見せどころですね。

居住者からのご意見や要望、トラブルなども、実際の体験をもとに次回以降の記事でご紹介します。

報告業務

マンション管理員の仕事のなかで実は一番重要なのが、この「報告業務」です。
報告は原則として管理会社あて、日報や週報など管理会社ごとに決められたフォーマットが用意されています。

実際にはトラブルや設備の故障などが毎日起こるわけではないので、報告内容は「異常なし」「特記事項なし」などの一言で済む場合が多いのですが、りす丸はここでもひと工夫して、居住者や訪問者との会話の内容などもできるだけ報告するようにしています。
そして、後で見返してみると、その何気ない会話のメモが役に立つことも少なくはないのです。

また、管理組合の役員が集まって管理方針などを協議する理事会にも出席して、管理員の視点からの報告も行います。

そもそも管理組合の理事会の役割や居住者との関係、そして管理会社との関係などについても、管理員の視点から詳しく解説していきますので楽しみにしてください。

管理員はマンション管理の円滑な運営のための潤滑油

りす丸はマンション現場の最前線のゴールキーパーとして、居住者と管理組合、そして管理会社と三者の間をとりもつ潤滑油的な役割と考えて日々頑張っています。

関係者管理員との関係管理員の果たす役割
居住者利用者・生活者日常的な接点・要望の受け皿
管理組合(理事会)マンション管理の意思決定現場の報告・提案を受ける
管理会社業務の運営・技術支援・理事会支援指示・報告の窓口

そして、実はマンション管理員の業務範囲はとても限定的で、管理会社の「業務マニュアル」に日々の仕事内容が細かく規定されています。
マニュアル外の業務にたずさわるのは原則NG、判断や対応に裁量がなく、何かあったら、小さなことでもいちいち管理会社への確認が必要です。
こうした制約の中でも、管理員は「できることの最大化」を目指して日々工夫を重ねています。たとえば、マニュアル内でできる声かけや掲示物の工夫、居住者との信頼関係づくりなどは、マンション管理員の現場力の見せどころです。

一生懸命対応して、居住者から「ありがとう」と言われた時の達成感と満足感が、マンション管理員りす丸の心の支えになっています!

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